ノーベル賞
すでに報道されているとおり、今年のノーベル経済学賞(ノーベル記念スウェーデン銀行経済学賞)は、Elinor OstromさんとOliver E. Williamsonさんの2人が共同で受賞されました。
このうちOstromさんは、漁業資源や森林資源といったコモンズ(共有地)について、集権的管理や私有化以外にも、利用者が共同で所有し管理するという方法があり、それがけっこううまくいく場合があることを指摘してきました。環境経済学に関わる成果が初めてノーベル賞を受賞したわけで、とても喜ばしいことです!
お2人の業績は、組織や制度など市場以外の統治方法に経済学的な視点から分析を加えたということで、学問的な系譜としてはRonald Coaseさんに辿ることができますね。Ostromさんのコモンズ研究とはかなり趣が違いますが、汚染物質の排出に許可証を与えて市場で取引する排出量取引の考え方も、ピグー税に異を唱えて権利の設定こそが重要だと指摘したCoaseさんに辿ることができます。あらためてCoaseさんの洞察の深さを感じます。
なおOstromさんは2006年に日本で開催された第3回環境経済学世界大会でプレナリースピーチをされました。そのときの報告に基づいた論文 "Tenure alone is not sufficient: monitoring is essential" が、環境経済・政策学会の英文学会誌 Environmental Economics and Policy Studies 8(3), 175-200 に掲載されています。ぜひご一読ください。
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